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今月のつぶやき(教員) 「新しい戦術の発明」

  • 2023-01-04
  • diary

新しい戦術の発明

教員の表です。2022FIFAワールドカップカタール大会、熱い試合が続きましたね。今回の日本代表とその対戦相手には本当にいろいろと勉強させてもらいました。新たなサッカーの奥深さと面白さを見せつけられ、いろいろ考えさせられました。自分自身でも知らず知らずのうちに常識に囚われていたのだなと認識させられました。

今回の日本代表は、これまでのサッカー(というか勝負事)のセオリーと真逆のことをやっていたように感じます。狙って行っていたのか、対戦相手であるドイツやスペインとの力関係の結果、そのような戦術を取らざるを得なかったのかはわかりませんが。真逆のことをやっていたので、対戦相手も世界中のサッカーファンも混乱し驚いていたのだと思います。

全てではありませんが、基本的に勝負事の重要なポイントの一つに先手必勝という考え方があると思います。特にサッカーは得点が入りにくいスポーツなので、1点を先にとられると勝つために2点が必要になり、勝利する可能性はより小さくなります。そのため、通常は先手を取るために先発メンバーは基本的にベストメンバーを選出することが多いように思います。通常は、前半圧倒的に押し込んで1点を先取したドイツのようなチームを相手に、リードされたほうが逆転に持っていくのはものすごく困難なことなのです(なぜなら通常前半から出ているはずのベストメンバーが何もできずに押し込まれてしまったので)。ところが日本はあえて前半1点リードされることをOKとし、後半により攻撃力のあるメンバーをどんどんと交代出場させました。これまでもどうしても1点が欲しいときに決定力のあるFWを1人、後半から投入する戦術は一般的でしたが、ドイツ戦では最終的に日本は6人のアタッカーを並べていました。

通常のセオリーから考えると、前半ほとんど攻撃できなかった相手が前半の数倍の攻撃力で襲い掛かってくるというのは、リードしたほうは想像しにくいと思います。また、前半リードしたほうは、試合の初めから出ているベストメンバーが疲労し始めているので、どうしても精神的に守りに入ることになりますし、その後で逆転されてしまった場合、何が起こったかなかなか理解できずに混乱しているのと、再逆転できるほどのメンバーがもうベンチにいないので盛り返すのは本当に大変な状態に追い込まれてしまうのだと思います。1度ならず2度もこのような戦い方で逆転勝利したということは偶然ではなく、新たな戦術が発明されたのだと思います。私自身も特にドイツ戦はかなり混乱しました。

ドイツやスペインもベンチメンバーの顔触れから日本が何を狙っているのかは、頭ではある程度理解はしていたと思いますが、常識とは異なる戦い方を実際に体験したときに対応する術がなかったのだと思います。

この戦術のもう一つの恐ろしさは試合後に相手に与えるダメージが甚大なことです。特に勝ちゲームだと感じていた試合を落としてしまうことで、ただの一敗よりも精神的ダメージは大きくなると思います。日本もワールドカップで2006年のオーストラリア戦や、2014年のコートジボアール戦のように、まだグループステージの試合が残っている状態で逆転負けしたことがありますが、チームが受けたダメージは大きいものでなかなか盛り返すことが困難でした。偶然かもしれませんが、そこまで狙ってやっていたとしたら・・・恐ろしいです。

今後は、この新しい戦術が一つのモデルとなり、日本も対戦相手にやられるかもしれません。ただ、それイコール、サッカーが一つ新しい顔を持ったということだと思います。そういう可能性を持っているサッカーというスポーツは本当に奥深いですね・・・・

最後に、今回のベスト4が東西南北だということをお気づきでしょうか?東欧:クロアチア、西欧:フランス、南米:アルゼンチン、そして北アフリカ:モロッコです。もし日本がクロアチアに勝ち、その後の準々決勝も勝ち進んでいたら東アジア:日本でした。2026年はそうなるように願って・・・・。