CONTENTS 03

TWEET/つぶやき

Title

今月のつぶやき(教員) 「卒業式での破天荒」

  • 2022-03-01
  • diary

卒業式での破天荒

卒業予定の学部4年、修士2年のみなさん、後一月で卒業。次のステップに向けて心躍らせていることでしょう。一方、残り僅かな大学生活に名残惜しむ声もあろうかと思います。

大学卒業から数十年が経ちました。卒業式での破天荒な思い出を一つ。

私は工学部 電子工学科を卒業しました。入学時の同級生は40名、卒業時も40名でしたが、約10名が入れ替わり、30名がストレート組で10名が留年組でした。40名と小人数のためか、ストレート組、留年組の分け隔てもなく、卒業時の同級生の仲は非常に良好で、例えば、クラスでの飲み会(コンパ)、クラスでの学園祭への出店、クラスでの餅つき大会など、事あるごとに全員参加の催しを行っていました。

卒業直前のクラスの飲み会で、卒業式が話題となりました。当時の私の大学の卒業式典では、講堂で各クラス代表者一人が呼ばれ、檀上で学長から証書を受け取り、他の卒業生は後方の座席でそれを見守るという内容でした。これではクラス全員参加の卒業式ではない、そこでクラス全員参加となる卒業式をしようということになり、私が一つの提案をしました。

それは、代表者が証書を受け取って、檀上へ上がる階段前に戻った時に、学長を背にして「万歳」を唱え、それに合わせ後方のクラス全員が立ち上がり、万歳を唱和するものでした。

酒も入っているためか、「クラス全員が一心同体になれ、全員参加となる」という迷言で多いに盛り上がり、クラス代表者も賛同しました。

しかし、卒業式が近づくにつれて、クラス代表者は本当にクラス全員が予定通りの行動するのか、直前に取りやめて、自分だけのお道化た行為にならないのかと疑心暗鬼になりました。今考えれば、静粛な式典でのこのような行動、クラス代表者の心境は只ならぬものであったろうと思います。

卒業式当日、クラス代表者は証書を受け取って檀上の階段前に戻った時に、緊張で少し青ざめていましたが冷静な声で万歳を三唱し、後方のクラス全員は立ち上がり、何時もより大きな声で万歳を唱和しました。

万歳三唱が講堂全体を包む大きな響きとなり、式典の静寂は途切れましたが、その後、何事もなかったように、粛々と卒業式典は行われました。

クラス最後となる卒業の日に、クラス全員が一体となって行った前代未聞の行動に対する高揚感を今でも鮮明に覚えています。

卒業式後のクラスで開催した謝恩会でクラス担任の教授から前代未聞のこの行動に対して、学長を含め唯々、驚いたと聞きました。幸いにもクレームはありませんでした。併せて、この4年間このクラスは本当に良く纏まっていたとお聞きし、このクラスで卒業できたことを今でも誇りに思っています(涙腺崩壊)。

今月末の卒業式、卒業予定の皆さんの学生生活の総括となる素晴らしき日となることを願っています。